「今使っているサーバーを変えたいんだけど、どこがいいですか?」
Web制作の仕事をしていると、こう聞かれることがあります。
最近、実際にWebARENAから別のサーバーへ、ホームページを移転する作業を行いました。
そこで改めて思ったのが、サーバーの引っ越しは、単純にホームページのデータをコピーすれば終わり、というものではないということです。
ドメイン、WordPress、PHP、SSL、メール、DNSなど、いろいろなものが絡んできます。
今回は、移転作業をしてみて分かったことをまとめてみます。
そもそも、なぜWebARENAから移転するのか
今回のきっかけのひとつは、WordPressの管理画面に以前から表示されていた、PHPのバージョンが古いという警告でした。
WordPressを使っている人なら、一度くらい見たことがあるかもしれません。
「WordPressがうるさいだけなのかな?」と思うかもしれませんが、実際にサーバーの設定を確認してみると、使用していたWebARENA側のPHPは7系でした。
つまり、WordPressが「PHPを新しくしたほうがいい」と言っているのには、ちゃんと理由がありました。
WebARENAでもPHPのバージョンアップに関する案内は出ていますが、利用者側からすると「では、いつ8系を使えるようになるの?」というところが、いまひとつ分かりにくい。
長年使っているサーバーなら、「今まで動いていたんだから、このままでいいんじゃない?」と思ってしまうのも無理はありません。
でも、WordPressやプラグインは少しずつ新しくなっていきます。
サーバー側の環境が古いままだと、いずれ「更新したくてもできない」という問題につながってきます。
もうひとつ気になったこと
今回、WebARENAからの移転を考えるきっかけとして、もうひとつ気になったことがあります。
WebARENAでは、サーバーに関するセキュリティ上の問題についての発表もありました。
もちろん、これだけで「WebARENAは危険だからやめたほうがいい」と言うつもりはありません。
ただ、実際に仕事としてお客様のホームページを預かっている立場からすると、「この環境をこのまま使い続けて大丈夫なのだろうか?」と考えるきっかけにはなりました。
特にWordPressの場合、もしサーバー側で何か問題が起きたとき、「バックアップがあるから大丈夫」と簡単には言えません。
これはあくまで私自身が今回の件を見て感じたことですが、長く使っているサーバーについては、「今まで問題なかったからこれからも大丈夫」と考えず、一度環境を見直しておくことは大切だと思います。
「おすすめのサーバーは?」と聞かれたら
私なら、今ならXserverをおすすめします。
「どこのサーバーがいいですか?」と聞かれたら、私は「普通のホームページならXserverでいいと思います」と答えます。
実際、私自身もいろいろなサーバーを触ってきましたが、管理画面の使いやすさ、WordPressとの相性、PHPのバージョンアップ、SSL、メールなど、一般的なホームページを運用するのであれば、Xserverのスタンダードプランで十分なケースが多いです。
もちろん、特殊なシステムや非常に大規模なサイトなら話は別です。
でも、
- 会社のホームページ
- 店舗のホームページ
- WordPressサイト
- ブログ
- 小規模なECサイト
くらいであれば、まずスタンダードプランを考えればいいと思います。
契約期間が長いほど、月額換算では安くなります。
Xserverには「お友達紹介プログラム」もある
ちなみにXserverには、お友達紹介プログラムがあります。
紹介した人、紹介された人の双方に特典がある制度です。
ただし、この紹介制度はSNSやブログなどで紹介URLを不特定多数に公開することは禁止されています。
そのため、この記事では紹介URLは掲載しません。
もし私からの紹介を希望される場合は、個別にご相談ください。
……まあ、そういうご縁があれば、ぜひ友達になりましょう(笑)。
PHPは最初から8系にしない
今回、個人的にかなり重要だと思ったのがここです。
現在のWebARENAがPHP 7系だったので、最初からXserverをPHP 8系にして移転するのではなく、まず同じPHPのバージョンに合わせて移転するという方法を取りました。
なぜか。
もし、「WebARENA → Xserver」と「PHP 7系 → PHP 8系」を同時にやって、ホームページが動かなくなったら、何が原因なのか分からなくなるからです。
まずは同じPHP環境で移転。
↓
ちゃんと動くことを確認。
↓
その後、Xserver側でPHP 8系へ変更。
↓
もう一度確認。
この順番なら、「移転は問題ない。PHPを上げたところで問題が出た」という切り分けができます。
ホームページの引っ越しでは、こういう原因をひとつずつ切り分ける考え方が大事です。
WordPressの移転方法は、サイトによって違う
「WordPressを移転するなら、どうすればいいの?」
これもよくある質問ですが、実はサイトの規模や構成によって答えが変わります。
小規模でシンプルなWordPressなら、Xserverに用意されている「WordPress簡単移行」で済むこともあります。
一方で、データ量が多かったり、構成が複雑だったりする場合は、私は有料版のAll-in-One WP Migration Unlimited Extensionを使うことがあります。
今回もこちらを使用しました。
これ、サイトによっては非常に楽です。
ただし、「WordPressの移転=この方法が正解」ではありません。
サイトの容量やプラグイン、サーバー環境などによって、最適な方法は変わります。
実際の現場では、「このサイトなら簡単移行でいいな」という場合もあれば、「これはこっちを使ったほうが早いな」という場合もあります。
ちなみに私は今回、All-in-One WP Migrationの有料版を購入しました。
支払い時にJCBカードが使えなかったので、最終的にPayPalを利用しました。
なぜJCBが使えなかったのかは分かりません。
PayPalを普段使わない人にとっては、ここも少しハードルになるかもしれません。
ドメインとサーバーは別物です
ここも、ホームページに詳しくない方には分かりにくいところです。
今回、ドメインは「名づけてねっと」で管理されていました。
つまり、ドメインを契約している会社と、ホームページを置いているサーバー会社は別ということです。
これは珍しいことではありません。
「サーバーをXserverに変える」と言っても、「ドメインもXserverに移さなければいけない」という意味ではありません。
今回もドメイン自体はそのままにして、ホームページを置くサーバーだけを変更しました。
最後にDNS・ネームサーバーの設定を変更して、アクセス先をXserverへ切り替えます。
メールも忘れてはいけない
サーバーを移転するときに、ホームページと同じくらい注意したいのがメールです。
例えば会社で、
- info@example.com
- yamada@example.com
- tanaka@example.com
など、複数のメールアドレスを使っている場合があります。
サーバーを移転すると、これらのメールにも影響するため、移転前に、
- どんなメールアドレスを使っているのか
- それぞれ誰が使っているのか
- 現在どのような設定でメールを受信しているのか
- これまでのメールを残しておく必要があるか
などを確認しておく必要があります。
今回も、ネームサーバーを変更する前に、Xserver側で必要なメールアドレスを作成しておきました。
メールについても、ホームページと同じように、切り替える前に準備しておくことが大切です。
実際のサーバー移転はどうやったのか
ここからは、今回実際に行った作業を順番に書いてみます。
サーバー移転というと、「ホームページのデータを新しいサーバーにコピーして、ドメインを切り替える」というイメージかもしれません。
実際には、WordPressだけでなく、ドメイン、SSL、メール、DNSなど、いくつかの作業があります。
今回の流れは、ざっくり言うとこんな感じでした。
1. Xserverを契約する
まずXserverを契約。
申し込み時には「WordPressを利用する」の設定は入れず、まず通常の初期環境で契約しました。
Xserverには「お試し7日間」もありますが、実際に移転作業をするのであれば、早めに正式契約してしまったほうがスムーズです。
2. Xserverの初期ドメインでテスト環境を作る
Xserverを契約すると、初期ドメインが用意されます。
まずはこの初期ドメインを使って、現在のホームページをXserverへ移します。
この段階では、まだ本番のドメインは旧サーバーを向いたままです。
つまり、現在のホームページを動かしたまま、新しいサーバー側で同じホームページを作ってテストできるわけです。
今回のサイトでは、まず現在使用しているPHPのバージョンに合わせてXserver側のPHPを設定し、WordPressを移設しました。
そこで正常に動作することを確認してから、Xserver側のPHPを8系へ変更。
もう一度、WordPressやプラグインなどに問題がないか確認しました。
この段階で問題がなければ、いよいよ本番の切り替えです。
3. Xserver側に本番ドメインを設定する
ここは、実際の移転作業で重要なポイントです。
本番ドメインをいきなりXserverへ向けるのではなく、先にXserver側へ本番ドメインを追加しておきます。
そして、そのドメインで使用するメールアドレスもXserver側で作成しておきます。
今回のサイトでは、もともとメールも旧サーバーで利用していました。
そのため、「ホームページの移転」だけではなく、「メールの引っ越し」も同時に考える必要があります。
この準備を済ませたうえで、ドメインの向き先を変更します。
4. 名づけてねっとでネームサーバーを変更
今回、ドメインは名づけてねっとで管理されていました。
ここで注意したいのが、ドメインを管理している会社と、ホームページを置いているサーバー会社は別でもいいということです。
今回はドメインをXserverへ移管したわけではありません。
ドメインは名づけてねっとで管理したまま、ネームサーバーだけをXserverへ変更しました。
設定自体はそれほど難しくありません。
ただし、変更した瞬間に全世界のアクセス先が一斉に切り替わるわけではありません。
今回、実際にネームサーバーを変更してから、反映されるまで20分ほどかかりました。
このあたりは環境やタイミングによって変わるので、「必ず20分」と考えるのではなく、ある程度の時間がかかるものだと思っておいたほうがいいでしょう。
5. SSLを設定する
ネームサーバーの切り替えが確認できたら、Xserver側でSSLを設定します。
ここで、今回のサーバー移転でかなり大きいと感じた違いがありました。
これまで使っていたWebARENAでは、独自ドメインでSSLを利用するためにSSL証明書の費用がかかっており、今回の環境では年間約8万円かかっていました。
一方、Xserverでは、通常のWebサイトで利用する無料独自SSLを無料・無制限で利用できます。
これは、長くホームページを運用することを考えると、かなり大きな違いです。
もちろん、Xserverにも有料のSSL証明書はあります。
ただ、一般的な会社のホームページやブログであれば、無料独自SSLで十分なケースが多いでしょう。
今回も無料独自SSLを利用しました。
ただし、これも設定したらすぐに終わり、というわけではありません。
今回の場合、SSLの設定後、安定してアクセスできる状態になるまで40分ほどかかりました。
サーバー移転というと、「ネームサーバーを変更して、SSLが使えるようになったら終わり」と思ってしまいがちですが、実際にはこうした待ち時間があります。
そのため、本番切り替えは「30分くらいで終わるだろう」とギリギリのスケジュールにせず、ある程度時間に余裕を持って作業することをおすすめします。
6. メールはどうなったのか
今回、実際に切り替えてみて、少し気になったのがメールです。
サーバーを切り替えたことで、一時的にメールが使えない時間が発生しました。
ただ、今回のケースでは、実質的にメールが使えなかったのは20分程度でした。
一方で、もうひとつ問題がありました。
一部の送信元から送られたメールが、しばらく旧メールサーバー側へ届いてしまう現象も発生しました。
ネームサーバーを変更しても、その情報が世界中ですぐに反映されるわけではありません。そのため、一部の環境では、しばらく旧サーバーを参照していることがあります。
今回も、この状態がすぐには解消せず、24時間ほど経過したところで解決しました。
サーバー移転では、「切り替えた瞬間に全員が新しいサーバーを見る」というわけではありません。
特に会社のメールを使っている場合は、このタイムラグも含めて、余裕を持って切り替えることが大切です。
ホームページが表示されたから移転完了、ではありません。
メールも正常に送受信できることを確認して、ようやく一段落です。
7. 最後に、開発環境から本番ドメインへ移設
ここが今回の最後の作業です。
これまでXserverの初期ドメインで動かしていたWordPressを、最終的に本番ドメインへ移設しました。
つまり、初期ドメインでじっくりテストしてから、本番ドメインへ持っていくという流れです。
この方法なら、本番サイトをいきなり触って、「移転したら壊れた!」というリスクを減らすことができます。
最終的に本番ドメインで、
- トップページ
- 下層ページ
- WordPress管理画面
- 画像
- リンク
- フォーム
- SSL
- メール
などを確認して、移転完了です。
今回の移転をまとめると
今回、実際に行った作業を時系列でまとめると、こんな感じです。
- Xserverを契約
- Xserverの初期ドメインで動作確認できる環境を作る
- 現在のPHP環境に合わせてWordPressを移行
- Xserver側で動作確認
- PHPを8系へ変更
- 再度動作確認
- Xserverに本番ドメインを追加
- Xserver側にメールアドレスを作成
- 名づけてねっとでXserverのネームサーバーへ変更
- 約20分後、ネームサーバーの切り替えを確認
- XserverでSSLを設定(SSLが安定して利用できるようになるまで約40分)
- クライアントがメールソフトでアカウント情報を変更
- メールの送受信を確認(一部メールが旧サーバーへ送られる問題を確認。その後も旧サーバーへの到達が約24時間続いた)
- 開発環境から本番ドメインへWordPressを移設
- 本番環境で最終確認
こうして見ると、単純に「WordPressをコピーして終わり」ではないことが分かると思います。
「何が分からないのかも分からない」でも大丈夫
ここまで読んでも、「うちの場合はどうしたらいいの?」と思う方も多いと思います。
そもそも、
- ドメインをどこで契約しているのか
- サーバーをどこで契約しているのか
- WordPressなのかどうか
- PHPのバージョンはいくつなのか
- メールアドレスはいくつあるのか
- SSLはどうなっているのか
- 誰が現在ホームページを管理しているのか
なんて、普通は分かりません。
20年近く前に作ったホームページを、そのまま使い続けている会社なら、なおさらです。
「ホームページのことは、昔作ってくれた会社に全部任せていた」というケースも珍しくありません。
だから、最初から全部分かっている必要はありません。
もし現在のホームページについて相談できる会社や担当者がいないのであれば、気軽にご連絡ください。
手元に、
- サーバー会社の情報
- ドメインの契約情報
- メールアドレスの一覧
- WordPressの管理画面に関する情報
- FTP情報
- 過去の請求書や契約書
などがあれば、現状を把握する材料になります。
もちろん、パスワードなどの重要な情報をメールや問い合わせフォームにそのまま送る必要はありません。
まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。
サーバーを変えるだけで、ホームページの問題が見えてくることもある
今回の移転作業をしてみて改めて思ったのは、「ホームページをリニューアルする前に、まず現在の環境を調べたほうがいい」ということです。
サーバーが古い。
PHPが古い。
WordPressが古い。
スマートフォンで見にくい。
メールの設定がよく分からない。
管理者が誰なのか分からない。
こうした問題がいくつも重なっていると、「もう全部作り直したほうがいいんじゃない?」となりがちです。
でも、必ずしもそうとは限りません。
サーバーを移転して、PHPを新しくして、WordPressを更新して、スマートフォンで見にくいところだけ直す。
それだけで、まだまだ使えるホームページもあります。
ホームページは、何十万円もかけて全部作り直さなければならないものとは限りません。
まず現在の状態を確認して、「残すところ」と「直すところ」を分けて考える。
私は、そのほうがいいと思っています。
まとめ
今回、WebARENAからXserverへ実際に移転してみて感じたのは、サーバー移転そのものより、「今のホームページがどういう環境で動いているのかを把握すること」のほうが大切ということでした。
そして、もし「どこのサーバーがいい?」と聞かれたら、私は今なら迷わずXserverをおすすめします。
ただし、サーバー選びも移転方法も、ホームページによって正解は違います。
長年使っているホームページなら、まずは一度、現在の環境を整理してみてください。
「何が分からないのかも分からない」という状態でも、そこから始めれば大丈夫です。
困ったら、一緒に整理しましょう。


